軍艦島(端島)

2015年に世界遺産に登録された長崎の軍艦島(端島)の見学に行った。予てから、コンクリートの劣化の現状をこの目で確かめたかったので、やっと念願がかなった。台風などの過酷な環境の中、護岸の一部が倒壊しているにもかかわらず、特に1916年に建造された日本最古のRC構造高層集合住宅の30号棟は、その姿をかろうじて維持し続けている。コンクリート工学会等が調査した結果を見ると、中性化による影響というより塩害による鉄筋の腐食膨張による劣化が主ということだ。当時、コンクリートの骨材に海砂を使用し、真水の摂取が困難なこの地ではコンクリートの使用水にも海水も使用していたと言う。重ねて、常に潮風にさらされて、台風等の強風時には直接波を受けることになる。内的、外的塩害にさらされ続けて、よくぞこここまで絶え忍んできたなあと喝采を送りたい。

また、この島の歴史を振りかえった時、現在の日本の繁栄は、このような過酷な環境の中で命がけで生活をしてきた人たちの上に立っているということを改めて認識し、我々のこの社会における役割と責任を考えざるを得ない。

2017年05月07日